COLUMN for DivingShopダイビングショップ向け経営・集客コラム
エシカルとは?未来のためにダイビングショップができること
INDEX
近年、世界的に注目を集めつつあるのが「エシカル」という考え方です。
日本でも自治体や企業がエシカルの取り組みを始めています。
エシカルとはかんたんにいうと「人や環境にやさしい」ことを指します。
エシカルな取り組みは自然を守ることにもつながり、海という自然環境をフィールドとするダイビングにも大いに関係があります。
エシカルに取り組むと「環境に配慮があり、社会貢献もしている」と、海を大切にしてくれるお客様から選ばれやすくなるほか、あらたなビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。
とはいえ、「エシカルな取り組みを」といわれてもエシカルとはどんなことを指すのか、具体的に何をしたらいいのかと悩まれるダイビングショップ様もあるのではないでしょうか。
この記事ではエシカルとはどんなことなのか、エシカルな取り組みを実行するとどんな効果が生まれるのかをわかりやすくご説明します。
また、ダイビングショップ様が実際に行われている取り組みもご紹介します。
この記事が海と未来を守るための「エシカル」な取り組みのきっかけになれば幸いです。
エシカルとは
まずは「エシカル」とはどんなことなのかを、かんたんにご説明します。
「エシカル」は英語のethicalという言葉からきています。
ethicalを日本語に訳すと「倫理的、道徳的な」という意味です。
「エシカル」にはさまざまな定義がありますが、近ごろでは「人や環境にやさしい」「人や自然環境、社会、地域のことを考えてよりよい未来のために行動する」ことを指すことが多いようです。
「エシカル」は1990年ごろ、イギリスで始まったといわれています。
もともとは“Ethical Consumption” (エシカル消費)を指していましたが、日本では「エシカル」と略されて定着しました。
環境に配慮したオーガニックな食品や服を買う、フェアトレードの商品を選ぶ、地産地消を心掛けるなどが「エシカル消費」にあたります。
エシカル消費から始まった「エシカル」という考え方。
最近ではエシカルという言葉は「エシカルな企業」「エシカルな取り組み」といった使い方もされています。
SDGsとのつながりと企業が「エシカル」に取り組む理由
エシカルは今、世界中で取り組まれているSDGsとも関連があります。
ここではSDGsとエシカルのつながりや、今なぜ企業やお店がエシカルな取り組みを始めているのかをご説明します。
SDGsとのつながり
SDGsはだれひとり取り残すことなく、安心して地球で暮らし続けられるように世界の問題を解決しようと定められた目標です。
SDGsには不平等の解消や温暖化など気候変動への対策など17の目標があります。
人や環境にやさしい、未来のことを考えて行動するというエシカルな取り組みは地球の環境を守り、不平等をなくして貧困を解消することにもつながります。
持続可能な発展を目指すSDGsとよりよい未来のために行動するエシカルは大いに関係があるのです。
SDGsについて書いた記事もあるので、関心のある方は読んでみてください。
今話題のSDGsとは?ダイビングショップでの取り組み方
企業やお店が「エシカル」に取り組むわけ
エシカルに取り組む企業やお店は「環境に配慮している」「次世代のことを考えている」と評価され、多くの人に好感を持ってもらえます。
そのため、SDGsやエシカルな取り組みを行う企業やお店も増えています。
また、地球環境の問題で、日本でも法改正があったりと、取り組まざるを得ない状況になっていることも事実です。
これはダイビングにおいても例外ではありません。
豊かな海の環境を守ることはダイビングができる環境を守ることでもあります。
美しい海がなければダイビングを楽しむことはできません。
海の恩恵を受けているダイビングショップも、共にエシカルに取り組む必要があるのです。
エシカルな取り組みをするとダイビングショップであれば、レジャーを楽しみつつ環境を守りたいと考えるお客様に選んでもらいやすくなるでしょう。
それだけでなく、同じように環境を守りたいと考える企業とのコラボや、海を守るためには何をしたらいいのか知りたい人向けのレクチャーをメニュー内に織り込むなど新しいビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
エシカルと観光
最近では観光にもエシカルな考え方が取り入れられるようになっています。
ルールやマナーを守らずに自然環境にダメージをあたえるレジャーや、観光名所周辺での交通渋滞。
これまでもオーバーツーリズムは問題になっていました。
今までは「来てもらえたらだれでも歓迎」という地域が多かったのですが、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、これまであったオーバーツーリズムを見直し、地域を守るために観光客にも責任ある行動を求める動きが出てきています。
沖縄でも西表島を訪れる人に「島に敬意と思いやりを持った」エシカルな旅を呼びかける取り組みが行われています。
西表島の豊かな自然・文化の継承とエシカル・ツーリズムの普及を目指すプロジェクト
「Us 4 IRIOMOTE」のWebサイト
「Us 4 IRIOMOTE」のWebサイトでは、西表島を訪れる観光客にも以下のようなことを呼びかけています。
・アメニティは使い捨てを使わない。持ってくる。
・ペットボトルや缶などごみになる物は島に持ち込まず、マイボトルを持参する。
・島の素材を使った地元のものをお土産に。
・環境に配慮した日焼け止め、虫よけを使う。
これらの取り組みや「島に敬意と思いやりを」という考え方はダイビングツアーでも参考になるのではないかと思います。
ダイビングショップにできるエシカルな取り組み
ダイビングは美しい海と豊かな海の生態系によって成り立っています。
みんなで海を守らなければ、ダイビング業界の未来はどうなるのか…身近な場所でも変化が始まっています。
沖縄県では恩納村で、海を守るため環境に優しいダイビング・シュノーケリングの国際的なガイドライン「Green Fins(グリーン・フィンズ)」を導入しました。
恩納村はダイビング・シュノーケリング業者にGreen Finsのガイドラインを守るほかにも、ダイビングをする観光客にもGreen Finsのガイドラインを知らせるように呼びかけています。
恩納村のGreen Finsへの取り組みは恩納村のホームページで見られます。
関心のある方はチェックしてみてください。
http://www.vill.onna.okinawa.jp/sp/politics/1508724757/1610705037/
Green Finsのガイドラインを守るほかにも、ダイビングショップができるエシカルな取り組みはまだあります。
海に流出するマイクロプラスチックを減らすために、ごみを減らすのもエシカルな取り組みの一つです。
お客様にマイバック・マイボトル持参を呼びかけるのもいいと思います。
あるダイビングショップはプラスティックごみを減らそうと食器洗い用のスポンジをヘチマタワシに切り替えたそうです。
また、海洋汚染の原因になるため、タンク充填時に使用していたビニールテープを廃止する動きも広まっています。
「みんなできれいにした海でスノーケリングを楽しもう!」など、楽しみながら参加できるビーチクリーンイベントを開催するダイビングショップもあります。
むずかしく考えすぎずに、まずは身近なこと、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
次世代にもダイビングを楽しんでもらうために
エシカルを意識していなかったけど、ビーチクリーンやマイバック・マイボトル持参をお客様にお願いするなど環境を守るための取り組みをすでにしているというダイビングショップ様もあると思います。
次世代のため、環境を守るためのエシカルな取り組みはブログやSNSで発信することをおすすめします。
海を大切に思っているダイビングショップだと感じていただけることで、同じように海を大切にするお客様に選ばれやすくなりますし、思いに共感したお客様のリピートや紹介につながる可能性も高くなります。
また、ブログやSNSを見た人が海を守るために動いてくれるかもしれません。
環境を守るためのエシカルな取り組みはダイビングショップだけでは限界があります。
お客様、地域の人、みんなで息長く取り組む必要があります。
ごみを減らす、環境を守るためにルールを守ってレジャーを楽しむ。
ひとりひとりでは小さなことかもしれませんが、みんなで取り組めば大きな力になるはずです。
次世代でもダイビングを楽しめるよう、美しい海を守るためにみんなで「エシカル(人や環境にやさしい)」を意識した取り組みができるといいですね。